郡上鮎の話
  著名な魚類学者、ジョルダン博士(米)は世界の淡水魚の中で一番の美味は、北アメリカの太平洋岸の川に上ってくるユウラカン(Eulachon)と日本の鮎(Sweat fish)であるとその文献で述べているそうです。
  また、1823年に長崎の出島に来た、オランダの軍医シーボルトは、その著書“日本動物記”(1846年)の中で鮎は希に見る美味しい魚として世界の学会に紹介しているとのことです。


  然し、アメリカのユウラカンは絶滅し“幻の魚”となったらしく、日本の鮎は名実共に世界で一番美味しい淡水魚であり、正に“川魚の王様”となったのです。
  鮎は降海型一年魚で、毎年春、水清らかな清流を求めて河口より遡上し、清流の石につく藻(コケ)を餌に成長して、、秋には産卵のため川を下り一生を終えます。
  天然鮎が美味しいのは、この石につくコケのみを餌にしているからです。“水=清流”,“餌=藻”が、その味に極めて重要であるのです。
  鮎は朝鮮半島、台湾、中国等、極東北部に分布生息していますが、石の少ない大陸の川に適さず、分布の中心は日本列島であります。中でも長良川の天然鮎は、美味しくて、大きくて、数が多いことでよく知られていますが、、これら大半の鮎は長良川上流域、郡上川の清流に生息しているのであります。昔から超特選天然鮎として、日本一の折り紙がつけられ“郡上鮎”と呼ばれ好評です。

  郡上鮎の美味しい方程式は、“水=清流”,“餌=藻(コケ)”ですが、更に詳しく述べますと、“アユの味はコケで決まり、コケは石と水で決まり、石と水は地質で決まる。”のであります。つまり長良川上流域の地質は秩父古生層の地質域なのであります。最高のコケを生む水成岩で覆われているのであります。他の多くの川がそうであるように、同じ古生層域でも、火成岩では鮎の好むコケがつきません。水中で水を含み易い水成岩と、殆ど水を含まない火成岩では、コケの発生・成長・繁殖に違いが出るとされます。郡上アユの美味しい理由がご理解して戴けたでしょうか。郡上アユはまさに天下一品であります。
(以上は 京都大学 名誉教授 宮地田次郎博士著、 岩波書店 “アユの話”より)
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